運命の12月。安藤美姫はソチ五輪に近づいている!? (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 12月下旬の全日本選手権へ向けて、安藤が目指す「2シーズン前のレベル」に戻るまでまだ時間がかかりそうな状況だが、東日本選手権までの今シーズンの3戦と比べると、グラーツでの演技は滑りもスピンもはるかにスピードが上がり、ステップでも表現を意識できる余裕が持てるようになってきている。

 練習用のリンク探しが困難な国内を避けてイタリアへ行き、リッゾコーチとじっくり練習ができることで、筋力回復も順調にいっているようだ。

 ザグレブでのキム・ヨナとの戦いでは、現時点での世界のトップスケーターとの実力差がどのくらいなのかを測れるはずだ。全日本選手権で五輪代表の座を争うためにも、その結果をしっかりと受け止め、「いかにその差を詰めていくか」を考えていくしかない。

 筋力を取り戻してスピードが復活しつつある今、もう一歩のところまで来ているジャンプを安定させ、自信を持って試合に臨めるようになれば、全日本でも十分戦えるはずだ。

 目の前にあるハードルを越えるため、そして、ソチ五輪出場という目標を達成するために必要なことは、彼女が自分自身との戦いに勝つことにほかならない。全日本選手権まであと2週間。彼女の本当の精神力の強さと、元世界女王としての意地を見せてもらいたい。

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