運命の12月。安藤美姫はソチ五輪に近づいている!? (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 だが、フリーでは不運に見舞われた。6分間練習の直前、スケート靴を履く時に「春先に練習を始めた時にひねってしまったところと同じところ」という左足首をひねってしまったのだ。イタリアに行き、練習量が増えた影響もあったのかもしれない。


「棄権を考えるほど痛かった」と話す安藤だが、自分を招待してくれた大会関係者の気持ちに応えたいと演技を強行した。

 そのフリーの演技では、最初の3回転ルッツでは着氷が乱れて手を突いたものの、続く3回転ループをきれいに決めると、フライングシットスピンはスピードのある回転でレベル4を獲得。さらにダブルアクセル+2回転トーループの連続ジャンプも決め、チェンジフットコンビネーションスピンでもレベル4を獲得した。

グラーツでの安藤の結果は2位。フリーでは左足の痛みの影響もあり得点を伸ばせなかったグラーツでの安藤の結果は2位。フリーでは左足の痛みの影響もあり得点を伸ばせなかった だが、連続ジャンプを予定していた次の3回転ルッツで転倒。そして3回転サルコウのあとの3回転トーループでも転倒してしまい、続くダブルアクセルは跳ぶのを見送ることに。結局、要素点は東日本選手権を11・53点も下回る41・71点に止まり、得点は94・12点。合計点は150・90点で2位に終わった。

 だが、フリー前の公式練習での調子は上向きで、不安を持っていた3回転ルッツもしっかり跳べていた。そんな状態だったからこそ、「試合直前のアクシデントが悔しかった」と安藤は言う。

 グラーツでは収穫もあった。まず、東日本選手権の時とは違い、フリーを滑り切るスタミナが付きつつあることが確認できた。さらに、左足に痛みがあっても演技に挑戦できたことや、フリープログラムにルッツを2回入れられたことで、「メンタル面でも少し強くなれたのでは」と手応えをつかんだ。

 安藤の次の試合は、キム・ヨナ(韓国)も出場する12月5日からの「ゴールデンスピン」。クロアチアのザグレブで開催されるこの大会で、安藤は世界女王との対戦を楽しみにしている。

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