フィギュア男子、熾烈な五輪代表争いを制するのは誰だ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 現時点の世界ランキング(11月18日付け)は、羽生が1位で高橋が3位、町田が7位につけている。またシーズンベストは、高橋がNHK杯の268・31点で日本人トップに立ち、町田がアメリカ大会の265・38点、羽生がフランス大会の263.59 点で続く。織田が262.98点。小塚は226.92点。無良227.22点。織田に関しては、ファイナルに進出してシーズンベストを更新すれば順位を上げる可能性が残っている。

NHK杯で自己最高得点を記録して優勝した高橋大輔NHK杯で自己最高得点を記録して優勝した高橋大輔 現時点で、代表選考レースで優位に立っているのは、羽生と高橋だろう。羽生はフランス大会のショートプログラム(SP)でノーミスの演技で自己最高の95・37点を獲得し、自信を得ている。フリーでは4回転サルコウが1回転になってしまい、4回転トーループでは転倒するミスをしたが、後半は建て直してきっちり滑りきる精神力の強さを見せた。ふたつの4回転ジャンプに成功して基礎点をキープできれば、合計で270点台後半まで点を伸ばせる力がある。

 一方の高橋は、NHK杯のフリーで久しぶりに4回転トーループを2本入れるプログラムに挑戦して成功させ、ジャンプへの不安を解消しつつある。その不安が少なくなれば、彼の武器である表現力に集中できるようになるはずだ。演技構成要素の基礎点では羽生より劣るものの、芸術要素点で羽生を上回る力を持ち、NHK杯でもスケートのつなぎであるトランジション以外は9点台を獲得している。

「アメリカの時は、『まだここは勝負の場ではない』というような意識だった」と長光歌子コーチが指摘するように、高橋自身「気持ちに緩みがあった」と言う。だがアメリカ大会で4位になったことでファイナル進出に黄信号が点灯したため、攻めの気持ちを取り戻したという。

「アメリカ大会がダメだったので、そこ(アメリカ大会)がソチ五輪へ向けてのいいスタートだったと思えるようにしたい」

 こう話す高橋は、まだまだ調子を上げていきそうだ。高橋と羽生のふたりにすれば、日本チャンピオンとしてソチ五輪に臨みたい気持ちが強いはず。GPファイナル、全日本選手権と、ふたりの激しい競り合いが展開されそうだ。

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