【フィギュア】ソチ五輪へ。浅田真央にさらなる野望あり (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Noto Sunao(a presto),Nakamura Hiroyuki

 また、回転不足を取られたトリプルアクセルに関しては、「スケートアメリカよりいい感じになってきています。今回はたくさんのお客さんが来てくれたので、絶対に跳びたいと思っていた。それが(完璧に)出来なかったのは残念だけど、本当にあと一歩のところまできていると思うので、焦らずにやっていけば、いずれはできると思います」と、浅田は穏やかな表情で話す。

 大会を振り返って「ショートはブラッシュアップをしてきて、さらに大好きな『ノクターン』(SPの曲)になった。技術や表現を含めて評価をいただいたと思います。フリーの方はまだ自分が目指している技術(のレベル)には達していませんが、スケートアメリカより1段、2段レベルアップできたので、GPファイナルでさらにレベルアップしたところを見せたい」と、さらなる進化を目指している。

「まだまだ納得はしていない」と言うフリーだが、得点は自己最高となる136・33。合計の207・59点も10年バンクーバー五輪の得点を上回る自己最高得点だった。

 だが、ほかの世界大会を見ても、昨年以降、以前より高得点が出る傾向になっている。その点は浅田自身も佐藤信夫コーチも承知しているようだ。

 佐藤コーチは「点数というのは、確かに数字として現れるものだが、大会によって(出る点数は)違うと思うので。それよりは技術的なことをどこまで(レベルアップ)できるかということを考えている」と語り、微笑みながらこう続けた。

「スケートアメリカに比べれば元気に滑れるようになったかなと思うし、その意味では良かったと思うが、まだ悪いところはポツポツ出ている状態。滑りのスピードに関してはもっと出せると思うし、トリプルアクセルも練習では固まってきているから、それができればと思う。試合になるとどうしても、ほんのわずかだけど力が入ってしまいますから」

 トリプルアクセルの場合、浅田にとっての「一番適切なスピードがある」と佐藤コーチは言う。だが試合になると「気持ちが高揚することもあって、それより速いスピードで入ってしまい」、着地で体が振られてしまうことがある。今回、左足のスケートが氷面をかすってしまったのもその影響だろう。滑りの改善でスピードは上がったが、局面、局面によってそれをセーブすることもできなくてはいけない。同時にこれは、さらに完成度を高めていけるということでもある。

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