浅田真央、ソチ五輪金メダルへの道を順調にスタート

  • 辛仁夏●文text by Synn Yinha
  • 中西祐介/アフロスポーツ●写真 photo by Nakanishi Yusuke/AFLOSPORTS

 浅田は今季もSPとフリーの冒頭で武器のトリプルアクセルを跳ぶ。この日はジャッジからは認定されたものの、着氷でオーバーターンしてGOE(出来栄え評価)で減点された。続いて予定した高難度の3回転フリップ+3回転トーループの連続ジャンプは、2つ目のジャンプが2回転に。そのほかにもジャンプミスが3つあり、いずれも昨季と同じ箇所だった。今季もジャンプの構成は昨季後半戦と変わらず、現在できる最高の組み合わせだ。浅田は「(失敗した)苦手なジャンプはちょっと自信がなかったのかなという気がします。次の試合では失敗がないようにしていきたい」と課題を口にした。

 ジャンプでは小さなミスがあったが、スピンやステップはすべて最高評価のレベル4を得て、演技構成点では8点台半ばが並んだ。プログラムの見せ場とも言える最後のステップでは、手拍子が起こる中、力強く、メリハリのあるステップを披露して観客を魅了。出場選手中ただ一人、技術点と演技構成点で60点台をそろえて圧倒し、135.16点をたたき出した。この高得点は非公認だが、銅メダルを獲得した昨季の世界選手権(カナダ)で出したフリーの自己ベストを0.79点上回るものだった。

「できるかな、できないかなといういろんな気持ちがあったんですけど、今までシーズンオフに練習してきたことがまずまず出せたかなと思っています。この大会は次の試合につながるようにしたかったので、それができてすごく良かったです」

 浅田のグランプリシリーズ初戦は18日からのスケートアメリカとなる。10日余りで仕上げと調整にかかる。「集大成」のシーズンでどんなスタートを切り、ライバルたちはどう浅田に対抗してくるのか。
 
「いよいよオリンピックシーズンが始まりました。これから伸びしろはまだたくさんあるので、向上を目指して頑張ります」

 女子のメダル争いに顔を出してくるのは、その浅田を筆頭に、グランプリシリーズを欠場するキム・ヨナ(韓国)のほか、カロリーナ・コストナー(イタリア)、アシュリー・ワグナー(アメリカ)といったベテラン勢と、ロシアのアデリナ・ソトニコワ、ユリア・リプニツカヤ、アメリカのグレイシー・ゴールドら若手勢だろう。対決の鍵を握るのは、3+3回転の連続ジャンプの成否と、演技構成点でいかに高得点を挙げられるか、になる。

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