【フィギュアスケート】浅田真央、完全復活。トリプルアクセルに大きな変化 (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Yinha Synn
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 浅田自身が言う「悪い癖」のある跳び方で、バンクーバー五輪前から専属コーチがそばにいない時期があり、知らず知らずのうちに癖がついてしまったのだろう。特にトリプルアクセルを跳ぶときについてしまった悪い癖は、「さぁ!行くぞ」という感じに構えすぎて前傾姿勢になり、跳ぶ前に”タメ”を作りすぎていたことだ。この「悪い癖」がどうして消えたのか。そのことについて浅田はこう解説した。

「ジャンプの修正やスケーティングの基礎を徹底してやったことで、ほかのジャンプもそうですが、トリプルアクセルも癖や悪いタイミングなどが消えて質が良くなってきて、気兼ねなく力を抜いて跳ぶことができるようになっています。質について一番分かりやすく言うと、ジャンプに入るときの流れとタイミングが、今のほうが軽く速く、あまり待たずに跳べていると思います。

(佐藤)信夫先生の指導の下でジャンプの修正をして我慢に我慢の練習をしてきたんですけど、トリプルアクセルはずっと練習していなくて、これまでダブルアクセル(2回転半ジャンプ)だけを跳んでいました。しばらくトリプルアクセルから離れていた間に前の悪い癖が自然に消えていて、今年(2013年)に入ってから得意なダブルアクセルと同じ形で跳べるようになってきていると思います。だから、今は簡単に跳ぶことを心がけています」

 このように、新しく生まれ変わったトリプルアクセルは、浅田も言うようにまるで「得意のダブルアクセル」を跳んでいるかのような入り方やタイミングで跳べるようになり、回り切るところまで完成度を高めてきたと言える。

 浅田の指導を始めて3季目の佐藤信夫コーチはこう語る。

「昨シーズンが終わってからトリプルアクセルからは遠ざかっていた。今シーズンの練習が始まっても本人はやろうとしなかったし、僕も放っておきました。全日本選手権が近づいて練習を詰めてきた状況で、跳びたいときにやるぐらいで、余計な欲を持たないで素直に無理しないで練習に取り組んできたことがいい結果につながったんじゃないかと思います

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