ベテラン・髙橋大輔を突き動かす若きライバルたちの進化 (3ページ目)

  • 折山淑美●文・取材 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 それに対して2位になった羽生は「世界選手権のように、フリーで1番になっての2位だったら嬉しかったですけど、今回はSP、フリーとも1番がなかったのが悔しいです。オリンピックに出るんだったら勝ちたいと思うし、そのためにはそのくらい(1番を)狙っていかなければダメだと思うんです」と強気な言葉を口にした。

 チャンとフェルナンデスは21歳、羽生は18歳になったばかり。そんな若手の成長と進化に「刺激を受ける」という26歳の髙橋は今季、最後まで体力に余裕を持って滑りきるためにと、4回転ジャンプの入りをこれまでより省エネで入る方法を取り入れるなど、細かな技術改良を試みている。

 表現力を含めた総合力を、自分のペースでじっくりと上げることを目標にしている髙橋。それは昨季圧倒的な強さを見せつけたパトリック・チャンのすごさを認め、彼に追いつき追い越そうとするための挑戦であり、自分自身との戦いでもある。

 成熟しつつある髙橋の力と、若い羽生の勢いの激突。その厳しい戦いは、日本男子のレベルを世界の頂点へ押し上げようとする、原動力になるはずだ。

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