シーズン前半のトラブル解消。村上佳菜子が四大陸選手権で見せた「大人への成長」 (3ページ目)

  • 青嶋ひろの●取材・文 text by Aoshima Hirono
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 そうした山田満知子コーチの厳しい選手教育もまた、村上佳菜子の強さの秘密だ。男子選手やアイスダンスの選手でも、演技が終わった途端、息も切れ切れに氷上にうずくまる選手もいた今大会、村上のあの姿を責める人はいないだろう。

 それでも、「選手として、いつでもきちんと!」と、徹底して叩きこまれているからこそ、村上はとび抜けて優秀なジャンパーでないにもかかわらず、シニア1年目から活躍できたのだと思う。

 そして、大きな壁にぶつかったシニア2年目の今季、シーズン中にきっちり復調することができたのも、甘えを許さない山田コーチの指導の賜物だろう。

 2年後に迫ったソチ五輪に向け、さらに高い技術の習得はもちろん村上の大きな課題だ。しかし17歳にしてここまで観客を魅了できるエンターティナーとしての実力、同時にコンペティターとしての意識の高さ。このふたつこそが、村上佳菜子の大きな武器になっている。

「3月の世界選手権の目標は……まずはショートとフリー、両方でいい演技をすること。順位は前の世界選手権よりもいい成績、できれば6位以内に入りたいです」

 さらに見せてほしいものがあるとしたら、「一番になりたい、負けたくない!」という積極性だろうか。それもきっと、ニースでの世界選手権で目標を達成したとき、自然と芽生えてくるのかもしれない。

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