【証言・棚橋弘至】鈴木みのるが語る対極のレスラーの功績「あいつはプロレスを男臭いドロドロしたものから、華やかな舞台に変えた」
【短期連載】証言・棚橋弘至〜鈴木みのるインタビュー(前編)
2012年、東京ドームと両国国技館で行なわれた「棚橋弘至vs鈴木みのる」の2つのビッグマッチ。当時、「プロレスの思想の違い」とぶつけ合った対決だと語られていた。だが鈴木みのるは「思想の違いなんかなかった」と静かに言う。本能と信念と意地が交錯した試合のあと、新日本プロレスの未来を変えるふたりの短い会話とは?
2012年1月4日の東京ドームでのレッスルキングダムVIで鈴木みのる(下)を下し11度目の防衛に成功した棚橋弘至 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る
【一方的な挑発の裏に隠していたメッセージ】
── 鈴木さんと棚橋弘至選手といえば、2012年に大きなシングルマッチを2試合やりましたよね。イッテンヨン(1月4日の東京ドーム)と10月の両国。いずれもメインでIWGPヘビー級選手権。
鈴木 それ、同じ年?
── 同じ2012年です。あの時はお互いのプロレスの思想の違いを争ったわけですけど。
鈴木 思想の違い? 今だから言うけど、思想の違いなんかなかったんだよ。
── なかったのですか。当時、鈴木さんの「昔のレスラーが今のプロレスを揶揄するのはおまえのせいだ」「おまえらがやっているのはプロレスごっこだ」という厳しい言葉に、棚橋さんが猛反発したというかなり生々しいやりとりだったと記憶しています。
鈴木 生々しいもなにも、あれはオレから一方的に仕掛けたわけだから。あの時、根底にあったのは「オレの言葉の裏側にあることに気づけ!」だよ。
── 言葉どおりに受け取るなよ、と。
鈴木 今のプロレスをバカにする昔のプロレスファンが一定数いて、プロレスのOBとかも「昔はよかったけど、今はさ」なんて言ってるのを聞くたびに、今を生きている人間として許せなかった。だけど、そういった言葉を覆すのはオレひとりの力じゃ無理なんだよ。
だからと言って、事前に棚橋と話したら、それこそ予定調和の違った形の試合になりかねない。もちろん棚橋とは会話をするような仲ではなかったわけだし、それで一方的に「気づいてくれよ」と思って仕掛けたわけだけど、あいつはギリギリまで気づかなかったね。
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