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女子プロレス界のトップ、彩羽匠が抱く決意「長与千種の遺伝子が里村明衣子で終わってほしくない」

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Ozaki Mugiko

■『今こそ女子プロレス!』vol.23

彩羽匠 後編

(前編:かつての長与千種を動画で見て「この人、死んじゃうよ!」 彩羽匠はいかにプロレスにとり憑かれ、リングに上がったのか>>)

 長与千種に憧れて、プロレスラーを志した彩羽匠。長与とのすれ違いを乗り越え、2015年、長与が立ち上げた新団体マーベラスに入団する。2016年5月3日、マーベラス旗揚げ大会にて、メインイベントで里村明衣子とのシングルマッチを行なうことになった。里村は長与の前団体GAEA JAPANの一期生。愛弟子対決である。

長与千種、里村明衣子について語った彩羽匠 photo by 林ユバ長与千種、里村明衣子について語った彩羽匠 photo by 林ユバこの記事に関連する写真を見る

 彩羽は長与の一番弟子である里村に、ずっと嫉妬心を抱いていたという。

「デビューする前から、『長与さんが手掛けている選手はこの人なんだ』という嫉妬ですね。自分も長与さんに教わりたかったけど、当時、長与さんはプロレス界から離れていたので、里村さんが最後の弟子なんだと思っていたんです。デビュー戦(スターダム両国国技館大会)で対戦しましたけど、もう全然手が届かなかったですし、『カッコいいなあ』という嫉妬もありますね」

 マーベラスに移籍して長与のプロレス観を学び、「今の女子プロレスをこのままやっていたら、何も変えられない」と感じた。自分のやりたいプロレスを旗揚げ戦でやろうと意気込み、3カ月ほど試合に出なかった。他団体への参戦もすべて控え、ひたすら練習を積んだ。しかしその間に試合勘がなくなってしまい、旗揚げ戦では里村に惨敗した。「今でも観たくない試合のひとつ。心が折れた」と話す。

 高校時代から憧れ続けた長与千種のプロレス――。まず、「普通に歩くな」と言われた。ゴングが鳴り、相手と同じ歩幅で歩いたら同じ動きになる。相手が右に回るなら、その前に詰めてもいいじゃないか。常に自分主導で相手を動かせ。「黙って立つな」とも言われた。首をちょっと動かすだけでも観客の目線は動く。「表情を指に出せ」「呼吸で魅せろ」......。言葉で教えるだけではない。長与は彩羽の弱点を竹刀で突き、問いかけ続けた。「お前は痛みをどう伝えるんだ?」――。

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【写真】マーベラスのエース 彩羽匠フォトギャラリー

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