UFCも視野に入れる2冠女王・伊澤星花の覚悟。「お客さんを楽しませないと、プロの格闘家でいる意味がない」

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 田中亘●撮影photo by Tanaka Wataru

――伊澤選手は、流れるように次々と寝技を仕掛けていく印象があります。それは柔道とレスリングの経験が生きている?

「それは意識の変化だと思います。柔道やレスリングをやっていた時は、私は"動かない選手"で、相手が来るのを待って返す、というスタイルでした。でも、プロの格闘家になったからには、見ている方に喜んでもらわないといけない。動きがある試合のほうが面白いと思うので、それを体現しようと思っています」

――技を仕掛け続けるには、かなりのスタミナも必要ですよね?

「普段から走り込みや追い込みの練習など、どこよりもキツイことをやっている自信があります。そのおかげで、試合開始からマックスで攻めていっても、最後まで動きが止まることはありません」

――伊澤選手が理想とする選手は?

「元UFCのハビブ・ヌルマゴメドフ選手(ロシア出身の男子選手。元世界ライト級王者。29戦全勝で2021年3月に引退)です。実績も素晴らしいし、常にアグレッシブに攻めていくスタイルも理想です。やはり積極的に攻めてお客さんを楽しませないと、プロの格闘家でいる意味がない。たとえ自分が勝ったとしても、つまらない試合をするようではダメだと思っています」

浜崎戦での妥協が「すごく悔しい」

――冒頭でも少し触れましたが、浜崎選手との2021年大晦日の試合(2ラウンドTKO勝利)と、今年4月のタイトルマッチ(判定3-0勝利)をあらためて振り返っていただけますか?

「2戦目は、1戦目より浜崎さんの本気度が違うことがすごく伝わってきました。かなり研究されているのを感じましたね。2戦目は3ラウンドをしっかり使って判定で勝つ作戦を立てていたので、一本で決められなかったことについては仕方ない。意地でも一本を取りにいく戦い方だけじゃなくて、どんな勝ち方もできるというところを見せたかったので」

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