京口紘人が井上尚弥に続いて世界のトップへ。カネロvsゴロフキンのアンダーカード実現で「統一戦プラン」が動き出す

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 そんな京口に、ビッグチャンスが訪れようとしている。京口陣営はベルムデス戦後、メガイベントの舞台で統一戦に臨むビッグオファーが届いたことを明かしたのだ。

「ベルムデス戦の2日前くらいに、マネージャーのエディ・レイノソから『今戦の結果次第で9月のカネロの興行に出ないか』という話がきました。相手はWBO世界ライトフライ級王者ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)です」

 ワタナベジムの深町信治マネージャーが言及した"9月のカネロの興行"とは、スーパーミドル級の統一王者サウル・"カネロ"・アルバレス(メキシコ)が、日本で村田諒太(帝拳)を撃破したばかりのゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)とラバーマッチ(同一選手同士の3試合目)を行なう大イベントだ。カネロと同じレイノソをマネージャーに持つ京口は、ラスベガスでの開催が濃厚の興行のアンダーカードで、対立王者と統一戦を行なう方向だという。

 京口にはWBC王者・寺地拳四朗(BMB)からも統一戦の声がかかっていたが、ゴンサレス戦の条件はそれよりも数段よかったとのことだ。過去2戦はアメリカ、メキシコで連続KO防衛を果たした"Mad Boy"を、2020年12月に契約を結んだマッチルームスポーツとDAZNが高く評価したということだろう。

 京口は常にファンを沸かせるファイトができる上に、軽量級ゆえに報酬などの経費は比較的に安く済む。ビッグイベントのアンダーカードに起用するには理想的な人材であり、マッチルームが6月、9月という短いスパンでの京口のリング再登場を望んだのも理解できる。

 ゴンサレスはニューヨーク出身のプエルトリカンで、25勝(14KO)3敗1無効試合の戦績を誇るサウスポー。2018年以降は主にフロリダ州でキャリアを積み、昨年10月、エルウィン・ソト(メキシコ)に番狂わせの2-1判定勝ちで新王者となった。歯切れのいい攻防が売りで、一定のパワーもある。

 ただ、2019年8月の世界初挑戦時には当時のWBO世界フライ級王者・田中恒成(畑中)に7回TKOで敗れるなど、やや不安定なところもあり、16戦全勝11KOの京口が優位とみなされるはずだ。

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