パッキャオのような軽量級のスターに。京口紘人は完全アウェーのメキシコに乗り込んで「圧倒して勝つ」 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AFP/アフロ

パッキャオのようなスターになるために

 しかし――。このような戦いも、京口はある意味で歓迎しているのかもしれない。メキシコでの防衛に成功すれば、日本人世界王者としては2009年5月、ジョニー・ゴンサレスを3回で沈めた西岡利晃(帝拳)以来。それほどレアなことをやり遂げることへの野心が、京口のなかにあるに違いない。

「そうじゃないと評価されない、というわけじゃないけど、より評価を得るには海外での試合が一番の近道だと思っています。(ただ勝つだけではなく、)内容も問われると思っているので、圧倒して勝ちたいですね」

 2階級王者で、歴史ある『リングマガジン』からも"ライトフライ級最強の男"として認められている京口だが、軽量級選手ゆえに世界的な知名度は高いとは言えない。今後、このまま連勝街道を突っ走ったとしても、欧米でスターダムに到達するのは容易ではないだろう。そんななかで、「世界的にも注目されるようなボクサーになりたい」と公言する京口は、何を目標にし、何にトライするべきなのか。

 昨年3月、アメリカで行なわれたアクセル・アラゴン・ベガ(メキシコ)戦の後、プロモーターのエディ・ハーン氏は「まずはライトフライ級を統一し、その後にフライ級に上げてほしい」と希望を述べた。

また、『リングマガジン』のダグラス・フィッシャー編集長は、京口が同誌のパウンド・フォー・パウンド・ランキングに入る条件を聞かれ、「ライトフライ級の4団体統一王者になるか、フライ級に上げて印象的な形で3階級制覇を果たすか。その2つの条件のうちのひとつをクリアすること」と話していた。

 今回の試合はハーン氏、フィッシャー氏が望んでいた「他団体王者との統一戦」でも「3階級制覇挑戦」でもないが、それにつながる試合と考えることはできる。

 京口が「ボクシング王国」と呼ぶメキシコに乗り込み、同国のタイトルホルダーに勝てば必然的にインパクトは大きくなる。相手を圧倒する内容なら、統一戦をはじめ、さらなるビッグファイトを期待する声は大きくなるに違いない。そう考えると、格上のスーパー王者でありながら、あえて正規王者の母国に乗り込んでいく今戦は、京口にとって真の意味での"世界進出の第1歩"と捉えることもできる。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る