「ぽっちゃりは、脇役じゃない。センターだ!」。まなせゆうなはガンバレ☆プロレスで自分の生きざまを見つけた (3ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • 林ユバ●撮影 photo by Hayashi Yuba

10分の試合だったら10分で人生を終えるつもりでやる

 プロレスを表現する上でのこだわりを聞くと、「私の中にあるものをリングの上で全部出すこと」と答える。

「前までは試合が終わった時に、もちろん疲れるし、痛いけど、どこかで『まだイケる』って思ってた。でも、ガンプロの人たちって、その日の試合に人生を賭けてるんですよ。あとで聞いたら、『試合数が少ないから、一回一回にすべてを賭けてた』と。今は状況は違うのかもしれないけど、私はそれってすごい大事だなと思って。

 私も今、10分の試合だったら10分で人生を終えるつもりでやってます。すべて出し切って勝たないと、相手に対しても失礼だし、余裕で勝ったところでお客様になにを伝えられるの?って思う。立ってるだけで『可愛い!』ってなる人だったらそれでもいいのかもしれないけど、私はたぶんそういう人間じゃないから。私の中にあるものをすべて出して、やっと足りないくらいだと思うんですよ」

 ガンプロの試合を初めて見た時、「なんて美しいんだろう」と思ったという。大会中、これでもかと泣き叫ぶ大家と今成を、カッコ悪いと言う人もいる。しかしまなせは「めっちゃカッコいい!」と思った。

「一生懸命生きることは恥ずかしいことじゃない。カッコ悪い姿を見せることって、カッコいいと思う。スターダムのときは『優雅に闘え』という教えだったので、そことは真逆。がむしゃらに一生懸命生きるって、実は気持ちいい。そういうことをガンプロから学びました」

 今年7月10日、ガンプロは大田区総合体育館でビッグマッチを開催する。ガンプロの規模を考えれば、異例中の異例だ。

「私たちもまだ『本当かどうか?』みたいな感じ。カードとかなにも決まってないと思うし、本当に勢いで箱を取ったんじゃないかなって。でも去年の年末から『2022年、ガンプロは勝負を賭けたい』というのはみんな思っていたんです。サイバーファイトフェスでもガンプロはすごくいい試合をしたのに、本戦に出られなかった。やっぱり悔しい気持ちをみんな持っています」

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