武尊が振り返る「那須川天心のほうが強い」と言われ続けた悔しさ。「すべてが報われるチャンスがきた」

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

試合実現までの誹謗中傷

『龍虎相討つ!』――。マンガ『ドラゴンボ―ル』16巻の表紙タイトルだ。その言葉は、天下一武道会の決勝戦、宿命のライバルである悟空とピッコロによる白熱のバトルが収められた巻にふさわしい。龍vs虎、最強vs最強。それが現実世界で行なわれようとしている。武尊にとって、那須川天心はどんな存在なのか。

――那須川選手のファイトスタイルは、武尊選手から見ていかがですか?

「完成されたスタイルだと思いますね。スピードと技術を兼ね備えて、戦い方がうまい印象です」

――2015年の大晦日、那須川選手から対戦要求があってから丸6年。その間、武尊選手もさまざまな感情があったと思います。

「対戦要求をされたあと、ずっと『天心のほうが武尊より強いんじゃないか』と言われるのが本当に悔しかったし、1日でも早く対戦したかった。なかなか実現できない間は批判されることも多くて、さんざん誹謗中傷されてキツい部分もありました。

 ただ、それをモチベ―ションに頑張れた部分もあります。『絶対に見返してやる』と試合の実現に向けて動いてきたし、勝つために練習も試合もしてきました。それがあったから今の自分がある。厳しい声にも感謝できるようになりました」

――念願の試合が決まった瞬間は、どんな気持ちでしたか?

「ホッとしたというか、『やっと、すべてが報われるチャンスがきた』と思いました。勝たないと報われませんけどね」

――昨年12月24日に行なわれた対戦発表会見での、武尊選手の表情からはすでに殺気を感じました。

「試合が決まった瞬間から倒さないといけない相手として天心選手を見ているので、あの時にはもうスイッチが入ってました。それが表情にも出ていたのかなと思います」

――あらためて、武尊選手にとって那須川選手はどういう存在ですか?

「戦ったあとには、いろんな感情が出てくるでしょうね。でも今は、対戦相手としか思っていません」

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