前田日明VS藤波辰巳の大流血の一戦。ケンコバは「受けの美学」をこの試合で理解した (3ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • 山内猛●撮影 photo by Yamauchi Takeshi

――プロレスの見方が変わったわけですね。

「しかも、この藤波vs前田と同じ構図が、ジュニアヘビー級の越中(詩郎)vs髙田(延彦)でも見られたのがいいですよね。やはり1986年に相まみえた2人も、UWFから戻ってきた髙田さんのキックを、全日本から新日本に移籍した越中さんが受けた。そこから、ジュニアヘビー版の"名勝負数え唄"と呼ばれる名勝負がいくつも生まれるわけですから。

髙田さんは、年上の越中さんを『オイ!エッチュー』と呼んでましたけど、俺はそれも『言いすぎちゃうか?』と勝手に気を遣ってドキドキしてました」

――越中さんを「エッチュー」呼ばわりしたのは髙田さんだけだったと記憶しています。

「それほど新日本とUWF勢の戦いが熱かったということですね。ただ......UWFは、俺と親父の"断絶"をまねくきっかけにもなった団体だったんです」

(後編:アンドレとの「不穏試合」で見た「格闘王」の意外な姿)

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