「美女ボクサー」という紹介に「色モノにはなりたくない」。日本王者・鈴木なな子が語るタイトル戦とプロを選んだ理由 (2ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 田中亘●撮影photo by Tanaka Wataru

ベルトを獲得して「あぁ、よかったぁ」

――試合前に、相手選手の研究は?

「普段から、相手の映像は見ますが、そんなに徹底的に研究をするわけではありません。自分はある程度のイメージを掴むくらいにして、あとはトレーナーの方に任せています」

――ラウンドが進むにつれて、その緊張がほぐれていった感じでしょうか。

「そうですね。私はもともとスロースターターではあるんですが、体が温まってきて、ちゃんとセコンドの声も聞こえるようになった。女子の場合は1ラウンドが2分ですし、タイトル戦でも6ラウンド。だからスロースターターなのは大きな課題です」

――勝利が決まって手が上がった瞬間の気持ちは?

「ホッとしました。すごくホッとした。1年ぶりの試合で緊張もしていたし、プレッシャーも大きかったですから。嬉しいというより、『あぁ、よかったぁ』と」

――相手の瀬川選手は日本体育大学ボクシング部出身で、いわゆるアマチュアエリートでした(アマチュア戦績:42戦31勝・14KO・9敗)。

「キャリアでは圧倒的に差があって、技術でも劣っていました。だから練習量は負けないようにしようと。試合でも気持ちでは上回ることができたと思いますし、それで競り合いを制することができたんだと思います」

――鈴木選手がプロデビューした時(高校3年時の2017年5月)と今とでは、女子ボクシングを取り巻く環境も少しずつ変わってきたんじゃないですか?

「選手はちょっと増えたような気がします。アマチュア上がりの選手も出てきたり、特に若い選手が多くなった印象です。これから、その流れが大きくなっていったらいいなと思います」

――競技の普及という点では、SNSを積極的に活用している選手もいますが、鈴木選手はどうですか?

「SNSは苦手です......ただ、プロボクサーとして何もしないのはよくないですよね」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る