子供たちを教えるなかで見えた「悲しくなるような現状」。レスリング・中村未優が説く女性コーチの重要性 (3ページ目)

  • 佐野美樹●取材・文 text by Sano Miki
  • photo by ©Sachiko HOTAKA

描く未来とは

 そんな中村は、大学在学中からメディアをとおしてアスリートとしての現状や情報を発信している。

「私の環境は、問題があると感じた時に、色々な情報を調べて活用したり、相談できる専門家と試行錯誤したりというのができているほうだと思うんです。だけど選手間で話をしていると、例えばトップアスリートの人でも、月経時の対処方をちゃんと知らない現状もあります。

 これはどうにかしなければと考えるようになりました。やはり、トップアスリートが使える知見は、その下の世代とか、キッズとかにも十分活かせることだと思うので。自分でも実践しつつ、色々な人にアプローチして、それを共有していけたら、よりよい環境になると思っています。問題と思っているだけでは何も解決しないので、少しずつでも自分ができることを見つけて行動していきたいと思っています」
 
 こういった思いがある中村が理想とする女性コーチとは、とりわけ技術や知識があって、選手の気持ちに寄り添って思いを汲み取れる、なんでも対応できるコーチだ。

「女性のスポーツ参加を促すためにも、そして自分の目標を果たすためにも、まずはアスリートとして結果を出したい。私が戦っている階級は、世界チャンピオンやオリンピックチャンピオンになるよりも全日本チャンピオンになるほうが難しい階級です。私のレスリングを追及して先ずは、全日本チャンピオンになって世界一に繋げたいです」

 そうハニカミながらも強い決意を口にした中村は、パリ五輪出場、そして女性アスリートのためのよりよい環境づくりの一端を担うという、大きな夢に向かってこれからも進んでいく。

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