K-1野杁正明は「格闘技は趣味」だからこそ強い。武尊vs那須川天心が予定の大会には「同じ舞台で試合を」 (3ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 立松尚積●写真 photo by Tatematsu Naozumi

――もし、お子さんが「格闘技をやりたい」と言ったらどうしますか?

「本人がやると言うのならやらせますけど、正直、親心としては選手としてはやってほしくないですね。もしプロでやるとなったら、その試合を見ることはできないと思います」

攻防一対のコンプリートファイターは、今年もK-1の主役を狙う攻防一対のコンプリートファイターは、今年もK-1の主役を狙うこの記事に関連する写真を見る――現時点でパーフェクトな強さを誇る野杁選手ですが、課題はあるんですか?

「山ほどあります。打ち方、蹴り方ひとつにしても、まだまだ伸びしろはありますし、毎日が勉強です。満足するとしたら、引退する時でしょうね。勝った試合でも100点と思ったことはありません。満足しちゃうとそれ以上の成長はないですから」

――ファンや周囲からは完璧に見える試合でも、100点ではない?

「ないですね(きっぱり)」

――自分としっかり向き合いながら成長しているんですね。野杁選手はSNSなどで相手を煽ったり、リング外の"バトル"をしたりすることもありません。

「あまり興味がないんです。対戦相手に何か煽るようなことを言われても、『勝手に言ってれば』という感じです。たまにSNSには、アンチからのメッセージが届くこともありますけど、逆に『そこまで注目してくれているのか』とうれしくなります(笑) 」

――相手を蔑んだりせず、ご家庭もあって浮ついた様子もない。そして何より強い。隙がないですね。

「これが"素"の自分なんですけどね。でも、結婚してよかったとは切に思います。たぶん結婚していなかったら、今ほど強くはなれていなかったはず。妻の支えがあり、子供たちからもすごくパワーをもらっているので、今の僕があるのは家族のおかげだと思っています」

――かなり先の話になると思いますが、現役引退後に「教える側」になる考えはありますか?

「引退したら自分のジムを持ちたいとは思っているんですけど、フィットネス専用のジムなどにしようと思っています。選手を育てることは考えていません。

 選手を育てるとなると、どうしても僕のスタイルに近づけることになると思うのですが、10人の選手がいたら10人それぞれの個性がある。それを僕の色に染めてしまうと、その選手のよさが消えてしまう。それは一番よくないことだと思うんです。その選手のよさを伸ばしつつ、プラスアルファで僕の要素を入れるならいいんですけど......そんなに簡単ではないでしょうし、がんじがらめにしたくないので」

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