「ネクスト井上尚弥は?」米メディアの記者たちが挙げたのは24歳の若き王者の名。「3階級制覇も狙える」 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

【井岡、村田にもさらなる可能性】

 スーパーフライ級がハイレベルになったことの恩恵を受ける日本人選手は、中谷だけではない。『Fight Hub TV』のインタビュアーで、『FOX』のボクシング中継で非公式ジャッジを務めるマルコス・ビレガス記者は、井岡がビッグファイトに絡んでくる可能性も指摘していた。

「井岡は総合力が高く、エキサイティングな試合もできる選手だ。2018年に米リングでマクウィリアムズ ・アローヨ(プエルトリコ)を下し、アメリカでも力が出せることは証明されている。井岡はすでに『リングマガジン』のパウンド・フォー・パウンドトップ10に入っているが、スーパーフライ級の大物たちと絡んで勝ち抜けば、さらに評価を上げることもできる」 

 実際に井岡は他団体の王者との対戦を目指しており、昨年末に一度は中止になったアンカハスとの日本での統一戦は、依然として既定路線と目される。この試合に勝てば、エストラーダ、ゴンサレスといったビッグネームとのアメリカでの対戦が視界に入ってくるだろう。井岡はすでに32歳で「"ネクスト井上"は誰か」というテーマからは少々外れるかもしれないが、米リングで再び注目を集めるシナリオは十分に想像できる。

 そのほか、ある匿名のテレビ局の関係者は、米英で巨大な力を持つマッチルーム・スポーツ社と契約を結んだ京口、尾川が、2022年中にもアメリカかイギリスのリングで重要なファイトに臨む可能性も指摘していた。

 また、バートン記者は「年齢的に長期の活躍は難しいかもしれないが、WBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太(帝拳ジム)がゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン )に勝てば、一躍ビッグネームになる。そうなれば米リングにまた立つこともあり得る」とも述べていた。

 確かに36歳の村田が、4月に40歳になるゴロフキンを相手に番狂わせを起こせば、さらなるビッグファイトの扉が開く。アメリカ国内のビッグネームから対戦相手として声がかかっても不思議はない。

 このように"ネクスト井上"の候補から、即戦力、ベテランにまで話を広げたが、世界的な活躍が期待できるボクサーがこれほど日本から出てきたことは喜ばしいことだ。今年、さらに評価を高めるのはどの選手か。2022年、23年にかけて、井上、井岡に続き、パウンド・フォー・パウンドでトップ10入りに迫るような日本人選手が現れても、もう驚くべきではないのだろう。

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