「ネクスト井上尚弥は?」米メディアの記者たちが挙げたのは24歳の若き王者の名。「3階級制覇も狙える」

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

【1階級上げれば面白い】

「中谷も爆発力のある選手であり、アメリカでの初戦の内容は見事だった。今後、フライ級の統一路線をいけば面白くなるし、骨格的に上の階級でも戦えそうなのが魅力。3階級制覇を狙えるポテンシャルがあり、遠からずスーパーフライ級に上げれば戦うべき相手に恵まれるだろう」

 そうジッテル記者が指摘するように、本来、軽量級選手の知名度を上げるマッチメイクは難しいのだが、中谷の場合は周辺階級に名のある選手がいるのが大きい。

 特に現在のスーパーフライ級には、WBAスーパー王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)、IBF王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)、WBO王者・井岡一翔(志成ジム)、元WBC王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア/帝拳ジム)、元WBC王者シーサケット・ソーランビサイ(タイ)といった、名実を兼ね備えた選手たちが揃っている。

 一時はフライ級で中谷のライバルになると目された、WBC世界フライ級王者フリオ・セサール・マルチネス(メキシコ)もスーパーフライ級に上げ、3月5日にゴンサレスとの対戦が決まっている。2月5日には、素質を高く評価される帝拳ジム契約選手のジェシー・"バム"・ロドリゲス(アメリカ)が、元王者カルロス・クアドラス(メキシコ)に勝ってWBC王座を獲得した。ロドリゲスの実兄でもあるWBA王者ジョシュア・フランコ(アメリカ)も含め、軽量級のひとつの階級にこれほどのタレントが揃うことは極めて珍しい。

 中谷も近いうちに1階級上げ、スーパーフライ級戦線に参戦すれば面白くなる。そう見るジッテル記者の、次の言葉には説得力がある。

「アメリカで軽量級の選手が注目を集めるには、ライバルに恵まれなければいけない。軽量級史上最大のファイトは、1993年に行なわれたマイケル・カルバハル(アメリカ)対チキータ ・ゴンサレス(メキシコ)戦で、2人は100万ドルのファイトマネーを稼いだ。

 以降、そんなファイトは生まれていないが、中谷がゴンサレス、エストラーダ、マルチネス、ロドリゲスらと戦えれば知名度を上げることは可能だ。なかでも、とてつもない才能に恵まれたロドリゲスとの対決は最高級のファイトになるかもしれない」

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