朝倉海にリベンジした扇久保博正、カズの息子も。大晦日のRIZINは「逆境」「諦めない」男たちが輝きを放った (3ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【カズの息子、批判を乗り越え勝利】

 優勝候補に連勝しての優勝に、「ふたりとも打撃は突出して強いんですけど、僕は全部できるので。打撃もレスリングも寝技も。そこで勝負しようと思っていました」と語った扇久保。16年間の格闘技人生の集大成、「打・投・極・根性」。そして、勝利への「執念」と「経験」で、グランプリ優勝という栄光を掴んだ。

 公開プロポーズも成功し、これ以上ないハッピーエンド。扇久保にとって、人生を変えた勝利となった。

 一方で、同じく人生をかけてリングに立ち、勝利後のマイクで観客を魅了した選手は他にもいる。試合後のマイクで、思わず涙腺が緩んだ3試合があった。

 サッカー界のレジェンド、キングカズの息子・三浦孝太は、デビュー戦となるオープニングマッチを、1ラウンドTKO勝利で飾った。試合後はリングサイドで観戦していた両親の元に駆け寄り、父・知良と熱い抱擁。隣で見守る母・りさ子さんの目は潤んでいた。

初のRIZINでTKO勝利を飾った三浦孝太 photo by Nikkan Sports/AFLO初のRIZINでTKO勝利を飾った三浦孝太 photo by Nikkan Sports/AFLOこの記事に関連する写真を見る デビュー戦がいきなり大晦日のRIZINとなり、誹謗中傷や批判の声が本人にも届いていたという。それでも、寮で他の練習生と共同生活を送りながら真摯に格闘技と向き合い、少しずつファンの心を掴んだ。

 試合では、思いきりのいい打撃と、グラウンドでも対応力の高さを披露。フロントチョークが決まらないと見るや、下から三角絞め、腕ひしぎ十字固めと次々に切り替え、デビュー戦とは思えない試合運びを見せた。

「これから格闘技界の"キング"になれるように頑張るので、僕のファンになってください」

 そうマイクで語った三浦が"キングカズの息子"から脱却する日は近いはず。プロ格闘家・三浦孝太が、さわやかな熱風を吹かせた。

 不遇な家庭環境から成りあがったのは、キックボクサーのYA-MAN。この日に行なわれた唯一のキックボクシングルールで皇治と対戦。3ラウンドにわたる殴り合いを制し、判定勝利が決まった瞬間、リングで泣き崩れた。

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