プロデビュー時の「色物扱い」から12連勝。無敗の女王・ぱんちゃん璃奈が考える「女子キック不要」の批判を覆すために必要なこと (2ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 撮影●田中亘 photo by Tanaka Wataru

――RIZINという大きな舞台で、KOでインパクトを残したかった?

「女子キックの試合を実施することへの反対意見がすごく多かったんですが、それは私も理解できます。KO決着が少ないのが一番の理由です。だから最低でもダウン、『倒せる』ところを見せないと女子キックは需要がないと思うんです。RIZINではそれを最低ラインにしていたので、正直なところ勝って嬉しいとか、『やった!』という気持ちはなかったです。倒せなかったから、『今回はアンチの人が勝ったのかな』という気持ちになりました」

――どう勝つかが重要だったわけですね。

「試合前は、自分の練習どおりの力が出せれば、蹴りでもパンチでもダウンが取れると思っていました。でも、自分の動きがよくなかった。プロデビューからの12戦で"勝つための動き"はそこそこ出来ていると思うんですけど、倒すタイミングがまだ習得できていません。『今回も無理だったか』と、自分に対しての悔しさがあります」

――とはいえ、第1試合からほぼ席が埋まり、いわゆる"トイレタイム"にする観客もいなかったように見えました。

「第1試合目から埋まっていたのでビックリしましたし、みなさん、座って見てくださっていましたよね。入場の時も、『みんないるじゃん! 見に来てるじゃん!』とテンションが上がりました(笑)」

――KOに関しては、体重や筋肉・骨格を考えても、女子のアトム級(46.26キロ以下)では簡単ではないですよね?

「でも、少し階級が上のRENA選手も倒せるわけですし、他にもKOできる女子選手はいるので、そこに自分が入れてないのが悔しいです。そこに入った上で、頭ひとつ抜けた存在になりたいですね。

 正直、相手を倒すことができたら、試合内容にかかわらず自己評価は120点です。そこが自分の最大のモチベーションなので、逆に倒せなければ勝てても合格点をあげられない。ベルトが懸る試合などは勝つことを優先してもいいかもしれないですけど、そうでない試合は他の選手たちに差をつける戦いがしたいです」

――KOで勝利するために、自分に必要なモノは?

「私、待てないんですよ。『先に殴りたい、蹴りたい』という気持ちが強すぎて、攻撃を散らさないといけないのに、試合になると顔面ばかり狙っちゃう(笑)。だから、手数で勝つことはできても倒せないんです。私の階級では、腕力だけで倒せる選手はほぼいないと思いますし、倒すには手数よりタイミング、死角からの攻撃が大事。KOを狙いすぎず、落ち着いていくことが大切なのかなって思います」

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