井上尚弥の次戦を占う一戦。「イメージが悪い」カシメロは強さを証明できるのか (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 プレミアケーブル局『Showtime』によって4月に挙行が発表されていたカシメロvsリゴンドー戦だが、7月中に一度、カシメロとWBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)による統一戦にカードが変更された。バンタム級の多くの選手や関係者が統一戦を望んでいることから、WBA正規王座という微妙なタイトルを保持するリゴンドーがはじき出された形だ。

 これは余談だが、日本の多くのファンから「リゴンドーが気の毒」という声が上がっていたものの、リゴンドーは同日程でカシメロの代わりに若手のラッセルと対戦。ほぼ同額のファイトマネーが保証されていたため、カード変更は特に気にはしていなかったそうだ。

 ともあれ、慌ただしくまとまったドネアとカシメロの試合は、約1週間後にあっさりと消滅してしまう。問題になったのは、ドネア側が望んだVADA(ボランディア・アンチドーピング機関)の薬物検査にカシメロ側の登録が遅れたことと、カシメロ陣営の度が過ぎたトラッシュトーク。すったもんだの騒ぎの中で、誰に落ち度があったのかの追求は別の機会にしたい。とにかく、一時は大きな話題を呼んだWBC&WBOの統一戦はキャンセルされ、カシメロvsリゴンドー戦が再セットされることになった。

 井上の4団体統一戦の相手を決める"準決勝"が流れたことを残念に感じるファンは多いだろう。薬物検査のタイミングを測っているように見えたカシメロに、嫌悪感を抱いた人も少なからずいたに違いない。とはいえ、"元のさや"に収まった一戦も非常に面白いカードだ。しっかりとした薬物検査が催された上で挙行されるのであれば、ボクシングファンには垂涎のマッチアップではないだろうか。

「この試合で、私がタフな相手にも勝てることを示したい。リゴンドーに勝てば、バンタム級で最高レベルの選手であることがわかってもらえるはずだ」

 相変わらず威勢のいいカシメロはそう息巻いているが、現在6連続KO 勝利中の暴れん坊にとって、リゴンドーは実力を証明するためには申し分ない相手。数年前までは「荒削りな脇役」という印象だったカシメロだが、近年は派手なKO勝利とトラッシュトークで一気に商品価値を上げてきた。

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