ビッグバン・ベイダーが語ったアントニオ猪木とのファイナルマッチの壮絶秘話。滴る血と汗に涙も混じった

  • 井木 康文 ●取材・文 text by Iki Yasufumi photo by 平工幸雄/アフロ

【熱狂するファンに圧倒されながらも猪木を滅多打ちに】

 試合会場の狂気的な熱気、そして猪木を硬直させた殺人ジャーマンスープレックスについても打ち明けている。 

「東京ドームがものすごい熱気で溢れていた。先に俺が入場してリングで待つ。それから猪木の入場だ。一気にファンが沸き立つ。俺がこれまで経験した中で最大級の歓声だ。熱狂的反応が逆に怖くなった。あまりに圧倒されたので、この時は俺も感覚がおかしくなってしまって、うっかり足を滑らせてリングから床に落ちてしまった(誰も見ていないといいのだけれど!)。

 試合開始のゴングと共に、俺はすべての見せ場を披露していった。幕開けにいきなり猪木の十八番であるビンタを食らわせた。俺は徹底して暴れるつもりだった。さらに俺は、モンスターぶりを見せつけてやった。マスクを脱ぎ捨て、投げっぱなしのジャーマンスープレックスをかけた。猪木があまりに酷く受けたので、彼を殺してしまったかと思ったほどだ。技を食らった猪木は、1分ぐらい動かなかったのだ」

 技を繰り出した本人すらも「殺してしまった」と思うほどのジャーマン。ファンが青ざめたのも当然である。また、凶暴なベイダーが、熱狂的なファンたちの声援に圧倒され、足を滑らせていたエピソードは意外な一面であろう。

【「俺を血まみれにしろ!」血と汗と涙の混じったラストマッチ】

 殺人ジャーマンから蘇った猪木との試合終盤の展開や、試合後の感想についても細かく述べている。

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