山本美憂が46歳でも闘いをやめない理由。「衰えている実感がない。やればやるほど強くなる」 (2ページ目)

  • 瀬川泰祐●取材・文・撮影 text by Segawa Taisuke
  • 田中亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

――最近では打撃にも進化が感じられますが、打撃で手応えを感じるようになったのはいつの試合からですか?

山本 手応えというほどじゃないんですけど、(総合格闘技5戦目の)石岡沙織選手との試合の時は、最初に打撃が当たってから、うまくいきましたね。

――あの試合から、勝ちが先行するようになりました。何かきっかけがあったのでしょうか?

山本 あの時は、ノリのそばにいたくて、グアムで生活をしていた時期でした。生活リズムを変えたくなかったので、試合もパスしていたのですが、ノリから「試合に出て勝ち癖をつけてほしい」と言われたので、「とにかく勝つ」「ノリの言っていたことを実現したい」と思って試合に挑みました。弟でもあり指導者でもあるノリの言うことを達成したいという思いしかなかったです。

46歳になっても自分をハードに追い込み進化を続ける46歳になっても自分をハードに追い込み進化を続ける――美憂さんは、KIDさんが亡くなった直後にも試合に出られています。あの試合では、過去に一度負けているアンディ・ウィン選手に勝利し、KIDさんに勝利を捧げました。あの時の心境を教えていただけますか?

山本 実は、あの試合はもともと決まっていなかったんですよ。石岡選手との試合のあとにノリに連絡して声を聞いたら、泣いて喜んでくれたんです。すでにグアムの病院に入院して寝たきりの状態だったのですが、「試合を見て元気になれた」と言ってもらえたのがうれしくて。そこで「すぐに次の試合をしたら、もっと元気になるかもしれない」と思って、無理を言って組んでもらった試合でした。

 ノリは試合前に亡くなってしまいましたけど、交わした約束は守らないといけない、勝ち癖をつけないといけないと思っていたので、試合をやめようとは思いませんでした。ノリは大学生の時に、母が亡くなった3日後にレスリングの全国大会に出て優勝しています。私も同じことをしないと怒られるだろうなと思って、亡くなった当日の夜にも練習はしました。さすがに練習後は落ち込みましたけどね。

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