藤波辰爾と激闘した外国人レスラー。大流血したチャボ戦とキッドの強力ヘッドバットを語る (4ページ目)

  • 松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Yukio Hiraku/AFLO

 身長は170cmあまりと小柄な体格だったが、そのハンデを補って余りある圧力を、藤波は鮮明に覚えているという。

「キッドは体が小さいぶん、全身を大きく見せるような感じで体ごとぶち当たってきました。技の出し惜しみをせず、攻めも容赦がなくて、自分の体を犠牲にしてでも突っ込んでくる迫力がありましたね。

 初対戦のカルガリーでの試合前も、最初は『こんな細い選手で大丈夫かな』と思いましたよ。でも、試合が始まると圧力がすごくて、『ウカウカしていられないぞ』と本気になりました」

 藤波が、強烈に印象に残っている必殺技として挙げたのは、トップロープからのダイビングヘッドバットだ。

「彼のダイビングヘッドバットは、トップロープからリングの真ん中を通り越して、より遠くまで飛んできました。それを決められた時はとんでもない衝撃がくるんですけど、僕がよけた時も、キッドは自分の頭をものすごい勢いでマットにぶつけていた。それには驚きましたね。あれだけ、自分の体をプロレスのために犠牲にした選手は記憶にありません」

 そんなキッドも、チャボに続くようにして、2018年12月5日に60歳でこの世を去った。

「体はジュニアだったけど、攻撃力はヘビー級。それ以上かもしれない。どんな時でも全力で戦ったキッドは、すべてのプロレスラーの模範になるすばらしい選手でした」

(第8回:ヘビー級で戦った最高の外国人レスラー>>)

■藤波辰爾が主宰する「ドラディション」は、『THE NEVER GIVE UP TOUR』と銘打ち、デビュー50周年記念ツアーを今秋からスタートすることを決定。
第一弾・・・10月31日@大阪・南港ATCホール 11月9日@東京・後楽園ホール
詳しくはこちら>>

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