「全員に好かれるのはあきらめた」。コンプレックスを武器にグラレスラー白川未奈の決意 (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

「グラビアをやってきたので、おっぱいに借りはあるんですけど」と笑う白川に、巨乳をコンプレックスに感じたことはないか、と尋ねた。筆者は子どもの頃、発育がよく、胸が大きいことを恥ずかしく感じていたからだ。胸を隠すようにして歩く癖がつき、すっかり猫背になってしまった。そんな話をすると白川はゆっくりと頷き、巨乳がコンプレックスだったことを打ち明けてくれた。

「中学1年から4年間、剣道をやってたんですけど、部活動の時は毎日さらしを巻いていました。『巨乳だからバカなんでしょ』と言われたこともあるし、太って見えるし、とにかく重いし、痛いし、邪魔だし、動きづらいし。いいものとはまったく思ってなかったですね」

 中学、高校と女子校に進学。大学は青山学院大学文学部英米文学科という、"9割が女子"の環境で育った。ずっと女の社会で生きてきて色気を出す場面はなく、まさか自分がグラビアアイドルをやるなんて考えたこともなかったという。色気を出すことに抵抗はなかったのだろうか。

「ありました、ありました! 撮影で泣いたし、やりたいこととは違ったので。当時、歌を歌いたいとか、もっとバラエティー番組に出たいと思っていて、そのために人が『いい』と思ってくれることをやろうと気持ちを切り替えていたけど、やっぱり泣くこともありましました。でも、やりたいことのためにやらなきゃいけないこともあるなっていうのは、そこで学んだんですよね」

 巨乳がコンプレックスじゃなくなったのは、バラエティー番組で芸人にイジってもらえるようになった頃。

「これを全部武器にして使っちゃおうと思いましたね。『おっぱいが大きいのを売りにして!』と反発する女性もいるのは当時からわかっていました。でも、それよりも私は、芸人さんが面白いと思ってくれる存在でいたいとか、バラエティー番組でキャラクターが立つ存在でいたいとか、とにかく仕事で売れたかった。全員に好かれるのは、無理だから諦めました」

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