「全員に好かれるのはあきらめた」。コンプレックスを武器にグラレスラー白川未奈の決意

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

 2010年10月、彗星のごとくマットデビューしたグラビアアイドル、愛川ゆず季。元祖"グラレスラー"として一世を風靡したが、わずか2年半で電撃引退を発表した。3.3日本武道館大会ではスターダムOGとして8年振りにリングに上がり、変わらぬ美貌と仕上げた体、技の応酬でファンを魅了した。

「あの方がいなかったら、グラビアアイドルやアイドルがプロレスラーを本気で目指すということはなかったと思うので、本当に感謝していますし尊敬しています。でも、今現役でやっているのは私なので、そこは絶対に負けたくなかった。なので、思いっきり顔を張らせていただきました」

 白川のプロレスデビューが決まった時、撮影会に来るファンは異口同音に「ゆずぽんってすごかったんだよ」と言ってきた。「ちょっとうるさいなと思ったくらい」と、白川は当時を笑って振り返る。しかし、目標は愛川ゆず季かと尋ねると、「目標とは違います」と語気を強めた。

「ゆずぽんさんは引退会見で『自分は女性とおっぱいを売りにしてきたから、その命は短い。だから引退する』というようなことをおっしゃったんです。けど、私は『女の花は短い』と言われるのがすごくイヤ。女性は何歳になっても女性じゃないですか。いくつになってもやりたいことにチャレンジするのはカッコ悪いことじゃないと思っているし、成し遂げられることもあると思っています」

 29歳でプロレスデビューし、現在33歳。20代の若いレスラーに期待することとは、違うことを求められているのはわかっている。しかし、人生経験があるからこそ出せるリングでの闘い方や、相手への感情がある。引退時期についても年齢では決めていない。

「アイドルってブリっ子で、プライベートを隠すようなイメージがあると思うんですけど、私は逆に『年齢重ねてますけど?』『グラビアアイドルでしたけど?』みたいな感じ。そういうのを全部出すことで、女性の方が共感してくださることが多くなったんです。そういう人たちと手を取り合っていきたいから、全部出していこうかなという気持ちでいる。結婚したくなったらするし、ぽっとプロレスをやめちゃうかもしれない。やりたいと思ったことを直感でやっていくだけです」

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