井上尚弥2位、井岡一翔10位。選定委員が明かすPFPのランキング争い (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

 今回除外されたゴロフキン以外にも、オレクサンドル・グボジーク(ウクライナ)との無敗対決をKO勝ちで制した、ライトヘビー級の"怪物王者"アルトゥール・ベテルビエフ(ロシア)も評価が高い。さらに24戦全勝(23KO)の快進撃を続けるジャーボンテ・デービス(アメリカ)、強豪を連破してスーパーウェルター級の3団体統一王者になったジャーメル・チャーロ(アメリカ)も10位以内の候補になってきている。

 10月31日、スター性抜群のデービスが4階級制覇王者レオ・サンタクルス(メキシコ)に豪快な6回KO勝ちを飾った直後には、9、10位を決めるためにパネリストによる決戦投票が行なわれる事態になった。筆者は9位にテイラー、10位にベテルビエフを推したが、結果は9位にテイラー、10位にゴロフキンという順番に落ち着いた。

 ところが今回の井岡vs田中戦後、そういった議論はほとんどなく、井岡の10位浮上はすんなり受け入れられた。選考中、筆者は意見を言うのを控えたが、日本人パネリストからの"援護射撃"は必要なかった。ここで実力、戦歴が認められたことは、間違いなく井岡の今後に生きてくる。

 井岡は3月13日、米国内で開催されるエストラーダvsローマン・ゴンサレス(ニカラグア=帝拳ジム)戦の勝者との対戦を希望している。特にエストラーダが勝った場合、PFPトップ10選手同士の直接対決は多くの関係者、ファン垂涎のファイトになるだろう。また、IBF同級王者エルウィン・アンカハス(フィリピン)をサポートする「MPプロモーション」のプロモーター、ショーン・ギボンス氏も井岡との統一戦を希望している。

 このようなビッグファイトの実現に向けて、世界的に大きく評価を上げたことは"推進力"になる。日本でのタトゥー問題の行方は気になるところだが、PFPトップ10入りによって、井岡が2021年中さらなる大舞台に立つ可能性は高まったと言えるだろう。

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