川井梨紗子「馨さんから逃げたと思われる」。苦渋の決断が生んだリオ五輪の金 (5ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by AFLO


 63キロ級には、前年のアジア競技大会チャンピオンの渡利璃穏(アイシンAW)や、前年の世界選手権代表の坂上嘉津季(ALSOK)ら12名が出場した。そのなかで、川井は初の階級ながら見事に優勝。さらに、前年12月の全日本選手権を制した伊藤友莉香(自衛隊体育学校)も代表決定プレーオフで破り、世界選手権の出場権を獲得した。

 2015年9月、アメリカ・ラスベガスで世界選手権が開催された。川井は3カ月前に階級を変更したばかり。対戦する選手は、みな初顔だ。

 川井は、自分の階級に出場してくる選手をビデオで徹底的に分析した。利き手、構え、重心のかけ方、タックルに入ってくるタイミングや予備動作......。わずかなクセも見逃さず、同時にパワーで勝る外国人選手をどう攻略するか研究した。

 階級を上げたからといって、すぐに体重が増えるわけではない。ましてや、「63キロ級で戦うのはリオデジャネイロオリンピックまで」と決めていた川井は、無理な増量もしていない。ほかの外国人選手たちは普段65キロから70キロ近い体重を試合前日の計量に向けて63キロまで減量し、当日はもとの体重近くに戻してマットに上がってくる。

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