「面白い試合をしてナンボ」のカッコよさ。桜庭和志伝説は50歳の今も継続中 (5ページ目)

  • 佐瀬順一●取材・文 text by Sase Jun-ichi
  • 長尾迪●撮影 photo by Nagao Susumu


 競技として体重差は、試合を大きく左右します。ぼくは何度もそれを体感し、難しさを痛感しました。しかし、そういう試合をしてきたことに後悔はまったくありません。そういう試合をしてきたからこそ、お客さんにインパクトを残せたことも事実だと思うからです。

 ぼくはアスリートであると同時に、プロレスラーです。プロレスで学び、プロレスから吸収した細胞がDNAとして染みついています。お客さんに伝わる試合をすること----それがプロレスラーとしての、ぼくの矜持です。

 大きな選手に向かっていくぼくの姿を通して、お客さんの人生に何らかの影響を与えることができたとしたら、プロとしてこれ以上の幸せはありません」

 そういう意味で、ホイス戦前後の桜庭の傍(かたわら)で一緒に仕事をさせてもらえたのは、私にとって財産でしかない。専門誌の記者でも、名のあるライターでもない私が、今でもこうやってプロレスや格闘技の仕事をしていられるのは、桜庭の自伝『ぼく。』を企画した担当編集者だったという恩恵が少なからずある。

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