時代の寵児となった桜庭和志。
ヘンゾ・グレイシー戦で「まさかの結末」

  • 佐瀬順一●取材・文 text by Sase Jun-ichi
  • 長尾迪●撮影 photo by Nagao Susumu


 だが、桜庭はホイス陣営の要求をすべて受け入れたうえで勝負し、ホイス陣営が負けを認めるタオルを投げ入れたのだから、言い訳のしようがない。エリオの笑顔と握手こそが、真に歴史が変わった瞬間と言っていいだろう。

 桜庭は、エリオが認めた男となった。

 しかし、これでグレイシーとの戦いも終わりかと思いきや、その逆である。PRIDEは桜庭vsグレイシーという"ヒット企画"を本格的に継続スタート。また、グレイシーのなかにも当然、桜庭に借りを返したいと思っている選手がゴロゴロいた。

 2000年8月27日には、西武ドームで『PRIDE.10』が開催された。桜庭は「時代の寵児」となり、自伝『ぼく。』はホイス戦直後から飛ぶように売れた。メディアからも引っ張りダコになった桜庭は、すっかりお茶の間の人気者となった。

『PRIDE.10』のメインでエースとなった桜庭は、柔術だけでなく打撃やレスリングの技術も積極的に取り入れる"進化形グレイシー"ヘンゾ・グレイシーと10分2ラウンドのルールで対戦。

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