グレイシーがまさかのタオル投入。桜庭和志がホイス戦圧勝で歴史を変えた (6ページ目)

  • 佐瀬順一●取材・文 text by Sase Jun-ichi
  • 長尾迪●撮影 photo by Nagao Susumu


 確かな手応えを、観客ひとりひとりが掴んでいくのがわかる。しかも桜庭は、ホイスの道着の上着をズルズルとさげて身動き取れないようにしたり、道着を掴んでゴロンとひっくり返してホイスに何とも恥ずかしい格好をさせてしまうのだから、もうやりたい放題である。

 だが、こういった攻撃は決してふざけてやっているわけではなく、柔術のテクニックの中にあるのだという。グレイシー対策として密かに柔術のテクニックも研究していた桜庭は、グレイシー柔術黒帯のホイスを柔術のテクニックで追い込んだのである。

 試合は6ラウンドが終わったところまで進み、90分が経過。足のダメージはもちろん、ホイスは完全に心も折られたようだった。

"御大"エリオ・グレイシーに落ち着きがなくなっている様子がビジョンに映し出され、グレイシー陣営のセコンドの動きが慌ただしくなると、観客もざわつき始める。

「もう無理だろう」「試合止めたほうがいいけど、レフェリーストップないんだろ?」「ホイスはギブアップしないだろ」「セコンドが止めるか?」

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