グレイシーがまさかのタオル投入。桜庭和志がホイス戦圧勝で歴史を変えた (2ページ目)

  • 佐瀬順一●取材・文 text by Sase Jun-ichi
  • 長尾迪●撮影 photo by Nagao Susumu


「どうやら桜庭というプロレスラーは強いらしいぞ」

 そんな噂がジワジワと広がるなか、桜庭の師匠である高田が何もできずに完敗を喫したホイス・グレイシーと『PRIDE GP 2000』の2回戦で対戦することが決定した。

 当時、出版社で働いていた私は、この世起の一戦に向けて桜庭の自伝を企画。忙しい合間を縫って桜庭に執筆してもらい、2000年5月1日に東京ドーム付近の書店で先行発売することになった。

 JR水道橋駅から決戦の場である東京ドームに向かう途中にある書店の店頭には、桜庭の自伝『ぼく。』の特設コーナーが用意された。桜庭のイメージカラーである蛍光オレンジに、桜庭の柔和な笑顔が"どんっ"とデザインされた表紙の自伝の前は、たくさんの人が群がっていた。

 桜庭はプロレスでチャンピオンだったわけでもないので、当時桜庭について詳しく知っているプロレスファンはそんなに多くなかったはずだ。だからこそ「この桜庭っていう強くて面白い選手はどんな選手なんだよ」と興味を持ってくれたようだ。

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