伝説の「グレイシーハンター」誕生20年。みんな桜庭和志の虜になった (5ページ目)

  • 佐瀬順一●取材・文 text by Sase Jun-ichi
  • 長尾迪●撮影 photo by Nagao Susumu


 私は当時、小さな出版社で働いていたのだが、「そろそろ何か本になるような企画を出して」と社長から言われていた。しかし、一番得意ジャンルであるプロレスは人気低迷。そのなかで唯一の希望というか、うまくいけばものになるんじゃないかと感じたのが桜庭だった。

 だが、ホイラーに勝利した頃の桜庭は、プロレス・格闘技ファンには認知されていたが、?田に比べると一般的な知名度はまだまだ低かった。それに、プロレスラーとしてIWGPチャンピオンになったことがあるとか、あの選手との一連の試合は名勝負数え唄と言われて伝説になったみたいな"実績"がなく、正直、本にするにはまだパンチ力不足だった。

 それでも、桜庭の可能性をこの目で確かめようと、私は2000年1月30日に東京ドームで開催された『PRIDE GP 2000開幕戦』のチケットを購入。この大会は無差別級トーナメントの1回戦で、高田がヒクソンの弟であるホイス・グレイシーと、桜庭はパンクラスの常連外国人選手だったガイ・メッツァーと対戦した。

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