伝説の「グレイシーハンター」誕生20年。みんな桜庭和志の虜になった (2ページ目)

  • 佐瀬順一●取材・文 text by Sase Jun-ichi
  • 長尾迪●撮影 photo by Nagao Susumu


 UFCは今や、世界最高峰の総合格闘技イベントである。だが、この『UFCジャパン』はルールや階級が整備された現在のMMA(ミックスド・マーシャル・アーツ)と違い、基本的にバーリトゥード(何でもあり)だった頃のUFCが初めて開催した日本大会だった。

 この大会の約2カ月前の10月11日、東京ドームで『PRIDE.1』が開催され、Uインターの絶対的エースであり、当時プロレス界最強と言われていた高田が、ヒクソン・グレイシーに完敗を喫していた。

 全プロレスファンがショックを受け、「バーリトゥードでプロレスラーは勝てない」というイメージが広まりつつあった。そんななか、桜庭はUFCジャパンでカーウソン・グレイシー柔術黒帯のマーカス・コナン・シウヴェイラと対戦する。

 一度はレフェリーストップ負けという裁定が下されたが、これは"誤審"だったと認められ、再試合の結果、腕ひしぎ十字固めで見事な一本勝ち。試合後、桜庭はマイクで「プロレスラーは、本当は強いんです!」と言い放ち、プロレスファンの溜飲を一気に下げてみせた。

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