コロナはプロボクサーへの影響も大。それでもブレないひとつの想い (7ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 もちろん、見えない明日にブレそうになることもある。そんな時、永田は大きく深呼吸して10回、自分の名前を唱える。

「最近、宮崎県の実家から荷物が届いたんです。中に缶詰やハンドソープ、母親手製のマスクが入っていました。うれしいっすよね、心配してくれて。僕、今でも何か迷ったら母親や家族に相談するんです。気持ちをしっかり持てるのも母ちゃん、家族のおかげです。昔、母親に言われたんですよ。心が揺れたら自分の名前を10回呟きなさい。気持ちが落ち着くからって」
 
 4月8日、政府の緊急事態宣言が発令されたことを受け、他ジム同様、三迫ジムも当面の臨時休館が決まった。永田はより万全を期すために、トレーニングのために通っていたスポーツジムを休会した。今後は自宅、自宅周辺でできるトレーニングを重ねる。

 夏にタイトルマッチを行なうことができるのか、まだ誰もわからない。それでも、永田は試合が開催されることを前提に、今日もトレーニングを続ける。

「いつか日常が戻ってきた時に、ボクサーが、アスリートが、誰かの何かしらの光になれればと願っています」

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