どうなる、井上尚弥の次戦の行方。
早くて夏前の実施、日本開催の声も

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

 外国人選手でも、売り出し方次第で米リングのスターになれることは、同じ2番手グループに属するワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)が証明してきた。百戦錬磨のボブ・アラムが、井上を2020年以降の目玉のひとりと考えていたことは周知の事実だった。

 ただ......今回は新型コロナウイルスの蔓延で前進を阻まれた。3月16日には、マンダレイベイを傘下に置くMGMグループが5月1日までの営業停止を決定。同日には米疫病対策センター(CDC)から"今後8週間は50人以上が集まるイベントを自粛するように"という要請も出てしまった。

 トップランク社は無観客でも4月25日に井上vsカシメロ戦を挙行したいと考えていたという。しかし、この状況ではそれも難しい。ボクシングは、50人以下でもなんとかイベントが開催できる数少ないスポーツかもしれないが、現時点ではリスクが大きすぎる。

 結論を引っ張れば引っ張るほど、最終的に諦めなければいけなくなった時に失うものが大きくなる。だとすれば、まだ試合まで1カ月以上ある時期に、他のカードとともに延期を決めたのは適切な判断だったのだろう。

 今後の注目は、このカードがいつ組まれるのか。現実的に、ボクシング興行はいつ可能になるのか、ということ。ほとんど先が見えない状況で優先されるべきは、できる限りのウイルス対策。ボクシング、スポーツの話をする前に、やらなければいけないことが山ほどあるのが現実だ。

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