「どん底まで落ちた」土性沙羅が勝者。敗者・森川は伊調馨に肩を抱かれた (6ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

 そして、最後に力強く語った。

「伊調馨のオリンピック5度目の優勝は、森川たちが達成してくれます」

 一方、男子フリースタイル74キロ級は、世界選手権でオリンピック出場権を獲得した奥井真生と、全日本選手権優勝の乙黒圭祐による「自衛隊体育学校・同門対決」となった。

 奥井は4週間前、右足の前十字じん帯を損傷。手術を受けずに強行出場したが、スピードやパワーは本来と程遠いものだった。

 乙黒の弟は、すでにオリンピック代表に内定している男子フリースタイル65キロ級の乙黒拓斗(山梨学院大)。その弟から「自分の強みを出せば負けない」と背中を押された兄・圭祐は、試合を終始コントロールして5-2と勝利。兄弟同時オリンピック出場を決めた。

 自衛隊体育学校はこれまで、数多くのオリンピックメダリストを輩出。2012年ロンドンオリンピックでも米満達弘(フリースタイル66キロ級)と小原日登美(48キロ級)が金メダルに輝いた。

 だが、前回のリオデジャネイロオリンピックでは、屈辱のレスリング選手出場ゼロ。8年ぶりのオリンピックへ向けて期待が膨らむなか、乙黒はメダル獲得への意欲を語った。

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