「どん底まで落ちた」土性沙羅が勝者。敗者・森川は伊調馨に肩を抱かれた (5ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

 試合後、ホッとした表情で会見に臨んだ土性だったが、すぐさま、オリンピック2連覇へ向けて決意を固めた。

「リオの時を10とすると、まだ半分。体力、筋力、スタミナをつけていかないと、世界では勝てません。でも、ここまでやってきたから、気持ちはリオより強いです」

 一方、敗れた森川に対し、セコンドに就いた伊調は「明日につながる試合をしました。これからもっと強くなる選手です」と評価。森川の肩を抱きながら、「明日からもっと厳しい練習をしていこう!」と声をかけた。

「自分が教えてきてもらったことを、伝えないのはもったいない」

「レスリングはやめたくない。でも、いつかはやめなければならいないから、コーチになってレスリングを追及するというのもいいかな」

 常々そう語ってきた伊調は、いよいよ本格的に指導者としてスタートするのかもしれない。

 SNSで観戦した田南部コーチも、笑顔で次のようにコメントした。

「挑戦者らしく、最後まで積極果敢に攻めていました。まだ大学2年生なので、これから世界で勝負できるように、選手とともにコーチ陣も成長していきたいと思います。日体大に女子チームが創部されて4年。オリンピックに絡める選手が出てきました。部員たち全員、伊調のようにレスリングに対して真剣な、純粋な気持ちを大事にできる選手になってもらいたいです」

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