「どん底まで落ちた」土性沙羅が勝者。
敗者・森川は伊調馨に肩を抱かれた

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

 伊調が川井と対戦したプレーオフでレッドカードを受けて、3月末まで試合アップ場への出入りやセコンドに就くことを禁止されている田南部に代わり、森川の第1セコンドには伊調が入った。

 試合前、伊調が授けた戦術は「前半から攻めること。テイクダウンを取ること」。第2セコンドに入った北京オリンピック銀メダリストの湯元健一コーチと松本慎吾監督も見守り、日体大が総力を結集してプレーオフに臨んだ。

 第1ピリオドは、森川の消極的姿勢からの30秒間アクティビティタイムで、土性が1点を獲ったのみ。全日本選手権で森川に豪快に返された土性は、低いタックルに入らない作戦のようだ。

 その後、両者にらみ合いが続いたが、第2ピリオドに入って森川が仕掛けた。30秒過ぎ、タックルに入ってグラウンドにもつれ込む。しかし、パワーで上回る土性が巧みにバックへ周り、2点を獲得して3-0となる。

 残り1分、森川はあきらめずに土性を場外へ押し出して1点を加算。だが、最後は土性が森川の追い上げをかわし、3-1でプレーオフを制して東京オリンピックへの切符を掴んだ。

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