「どん底まで落ちた」土性沙羅が勝者。
敗者・森川は伊調馨に肩を抱かれた

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

 土性のセコンドは至学館大監督に復帰した栄和人氏ではなく、リオでともに戦った登坂絵梨(東新住建)が第1セコンド、川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)が第2セコンドを務めた。ふたりは土性に「タックルに入ったあとの処理。気持ちを強く持つこと」をアドバイスしたという。

 対する森川は、女子レスリングの名門・安部学院高時代にインターハイ3連覇を成し遂げた逸材。日体大へ進学後は、復帰した伊調馨のかたわらで練習し、田南部力コーチに実力を磨かれた。そして12月、全日本選手権で初優勝。東京オリンピック代表争いに名乗りを上げた。

「田南部コーチの指導は厳しいですけど、細かくて丁寧。自分自身、強くなっていると実感できます。伊調さんから受けた影響も計り知れません。超人というか、正直、化け物みたい。どんな練習でも一切妥協せず、レスリングに対する意識はズバ抜けています。

(昨年)7月のプレーオフで梨紗子さんに負けた翌日も道場に来て、私たちの練習に付き合ってくれました。オリンピック代表となって、おふたりに恩返ししたいです」

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