井上尚弥に「つけ入る隙」。カシメロのプロモーターが後半勝負を予想 (4ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke

――交渉についても少し話してほしいのですが、井上vsカシメロというカードはかなり早い段階で話題になりながら、発表まで時間がかかった印象があります。遅れた理由は何だったのでしょうか?

「交渉に時間がかかったことはないですよ。(昨年12月の)WBO総会の時点で、井上はカシメロとの対戦希望を公言していましたが、正式なオファーが私たちのところに届くのが少し遅れ、話し合いが始まるのが遅かっただけのことです。実際に交渉が始まったら、3日くらいでまとまったと思います。(井上が契約を結んでいるトップランク社の)ボブ・アラム、"ミスター本田(帝拳ジムの本田明彦会長)"に私たちの希望するファイトマネーの額を伝え、何度かのやりとりの末に合意しました。

 私は、ミスター本田を最大限にリスペクトしており、彼のことを悪く言う人がいたら我慢がならないほどです。これまで岩佐亮佑(セレスジム)vsTJ・ドヘニー(オーストラリア)をはじめ、ミスター本田と何度も試合交渉を経験してきましたが、嫌な思いをしたことはありません。日本という国も尊敬しているし、大好きです。今回も正式オファーが来るまでに時間がかかっただけで、交渉は何の問題もありませんでした」

――あなたはカシメロ選手だけではなく、IBFの指名挑戦者マイケル・ダスマリナス選手(フィリピン)も傘下に抱えています。ダスマリナス選手の今後のプランも話してもらえますか?

「マイケルは3月15日にフィリピンで調整試合を予定しています。そのあと、井上vsカシメロの結果を見て、今後の方針を決めるつもりです。井上が勝った場合には、すぐにでもIBFの指名戦で井上に挑戦したいところ。カシメロが勝った場合は、ダスマリナスとカシメロを対戦させるのは理に適わないですし、その際にはまた方向性を考えることになります」

――井上選手はカシメロ選手に勝ったあと、IBFの指名戦よりも、 WBC王者との4団体統一戦を望むかもしれません。 

「統一戦が組まれた場合は、IBFも指名戦を先送りにすることを許可するので、私たちにそれを止めることはできません。そうなったら、私たちはマイケルにほかの試合を用意するつもりです。マイケルはまだ27歳なので焦る必要はない。2020年の年末までにはタイトル挑戦のチャンスを作ってあげたいですが、まだまだ時間はありますからね」

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