中西学のレスラー人生ヒストリー。レジェンド集合のなかリングを去った (5ページ目)

  • 大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi
  • photo by Hiraku Yukio/AFLO

 3カウント後、リング上で大の字になったまま動けなかった中西。デビューから一緒の時を過ごした永田、天山、小島の肩を借りて立ち上がる際には必死に涙を堪えていた。

 引退セレモニーでは、"世界の荒鷲"坂口征二、中西をスカウトした馳、特別解説者を務めた長州、デビュー戦のタッグパートナーである藤波がサプライズで登場。そのなかでマイクを握った中西は、これまで支えてくれた人たちへの感謝を口にした。

「奇跡のようにオリンピックに出られて、大したことないのに新日本プロレスにとってもらって、いい気になっていろいろ失敗も繰り返して。でも、永田、天山さん、小島さんと切磋琢磨させてもらって、諸先輩たちに鍛えられて、後輩たちにもケツ叩かれて、なんとかここまでやってこれました。ホンマにありがとうございました」

 後楽園ホールに「中西コール」が響き渡る。その光景を見た小島が「25年以上の付き合いですが、試合以外で怒っているのを見たことがありません。ずっと優しいままの人でした」と語れば、長州は「中西はリングでの表現が優しすぎたかな。もうちょっと怒りが足りなかったかな」と、惜別の思いを述べた。

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