比嘉大吾、669日ぶりのリング。支えた長谷川穂積と内山高志の助言 (3ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Jiji Photo

「人って面白いですね」

 誰かの陰口を、比嘉は言わない。しかし、王者陥落と同時に離れていった人がいた。比嘉大吾だから付き合っていると思っていた人物が、チャンピオンだから付き合っていたのだとわかったこともあった。

 味方は誰だ? 仲間はどこだ?

 リング上の野性味あふれる姿とは裏腹に、一度リングから降りた比嘉のハートは繊細だった。

「応援してくれるファンのために、もう一度がんばります」。そう言うにとどめるのが、無難だったはずだ。

 しかし、まっすぐで本音を隠すことができない比嘉は、今年1月の再起会見で、より範囲を限定してこう言った。

「2年間、離れないでいてくれた人、計量失敗しても見捨てないで応援してくれた後援会、スポンサーのためだけに戦います」

 ベルトを失い何者でもなくなった自分を、それでも近くで支えてくれた人たちのためだけに闘おうと、比嘉は決めた。

 たとえば、元世界チャンピオンの長谷川穂積。長谷川は解説などの仕事で関西から上京するたびに、復帰を決めかねる比嘉を幾度となく食事に誘った。

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