男子柔道復権の立役者・大野将平。東京五輪も金で「最高傑作」となる (2ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Hitoshi Mochizuki/AFLO

 講道学舎は大野が天理大に入学して以降、活動の幅を狭め、いよいよ2015年には閉塾に。リオ五輪で金メダルに輝いた大野は最後の講道学舎出身の柔道家であり、講道学舎で指導にあたった持田治也氏曰く、「最高傑作」となった。

 国際柔道連盟(IJF)の年間最優秀選手にも選出されたリオ五輪のあと、大野はケガに見舞われ畳から遠ざかる時期もあったが、昨年に入って代表に返り咲くと、東京で開催された世界選手権で世界王者に返り咲く。

 多くの報道では、大野は大外刈りや内股が得意技として挙げられている。だが個人的には、投げてよし、寝てよしのオールラウンダーである大野は、すべての技で「一本」を奪うことが可能なために、これという得意技がすぐには思い浮かばない。

 口はばったい言い方をするならば、アスリート化してきたJUDO競技にあって、礼節を重んじ、修行僧の如き人相で畳に上がって、一本を狙い続けるさまは、まさに柔道の申し子である。

 東京五輪の男子73キロ級で2連覇に成功すれば、大野は日本柔道の「最高傑作」となる。

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