堀口恭司が勝利を得た重要ポイント。朝倉海は「パニックになっていた」 (3ページ目)

  • 瀬川泰祐●取材・文 text by Segawa Taisuke

――試合の中で想定外のことに対処するのは、やはり難しいものなんですね。

「人は"想定内"の時は安心していられます。朝倉選手も堀口選手もたくさんの引き出しを持った選手なので、多くのことを想定して試合に挑んでいると思いますが、今回は堀口選手が一枚上手だったのでしょう。堀口選手が想像を超えた戦略をとったため、朝倉選手のメンタルがグラつき、そこを堀口選手が一気に突いた形になりました」

――ファーストコンタクトとなった堀口選手のカーフキックで朝倉選手はバランスを崩しましたが、そこが大きな勝敗の分かれ目だったということでしょうか?

「間違いなくあの時点で手応えを感じたと思います。堀口選手には、アメリカン・トップチームという世界最高峰のチームがバックにいますからね。彼らが練った戦略はすごいですよ」

――見事なKO勝ちでしたが、試合後の堀口選手がセコンドに向かって「Easy Fight」と叫んだことには賛否両論があるようです。

「嬉しさの裏返しだと思いますよ。また、僕が感じた堀口選手の強さのひとつが、試合後の『みんなに喜んでもらいたかった』という発言です。アスリートは、ついつい自分さえよければいいと思ってしまうものですが、それを超えた目標設定ができる選手は強い。堀口選手は戦略も目標設定も完璧だったと思います。

 朝倉選手も、兄の未来選手とチームを組んで戦いましたが、堀口選手陣営のほうが上でした。しかも今回、(アメリカを拠点とする)堀口選手は日本に帰国してから2週間の隔離もあったはずです。朝倉選手にも言えることですが、これまでと同じような準備ができない中でフィジカルとメンタルを整え、圧巻のパフォーマンスを見せたことは本当にすごいですよ」

「Bellator」と「UFC」の2団体王者だった堀口 photo by AP/AFLO「Bellator」と「UFC」の2団体王者だった堀口 photo by AP/AFLO――さらに堀口選手は試合後のインタビューで、一昨年の11月に返上した「Bellator」の世界バンタム級王座の奪還や、UFCへの再チャレンジについても言及しました。

「堀口選手のように、『日本の最高傑作』と呼ばれる選手が世界に出てその実力を見せてくれるのは、ファンとしては嬉しい限りですよね」

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