RIZINの新時代を作る「朝倉兄弟」の強さを髙田延彦が解き明かす (3ページ目)

  • 瀬川泰祐●取材・文 text by Segawa Taisuke

――堀口選手との試合での、パンチが当たったあとに畳みかけるようなあの膝蹴りを見ると、迷いがないように思います。

「あんなことができるのは、相当にキレキレで"ヤバい奴"ということですよ。佐々木戦でも、顎を撃ち抜いたあとにもう一度パンチを入れて、相手が亀になったところで、大きなモーションで高い位置から頭部に膝蹴りを2発ほど入れていました。普段は優しい好青年なのに、いざスイッチが入ると、とどめを刺すまで非情な攻撃ができるんですよね」

――今回、ケガによって欠場した堀口選手との再戦が実現しなかったのは残念でしたね。

「一番心を痛めていたのは堀口であり、朝倉海です。その試合の意味を誰よりもわかっていた2人だから。私もこの試合が発表されてから、毎日のように再戦のことばかりを考えていましたよ。どんな気持ちでこの試合を観ることができるのか、『たぶん震えちゃうんじゃないか』って。『どちらも勝者だ』と言ってあげたいくらいのカードだから、実現することを楽しみにしていますよ」

――その朝倉海選手が、堀口選手が返上したバンタム級のベルトを賭けて、12月31日にマネル・ケイプとタイトルマッチを行ないます。この試合後のストーリーに期待してしまいますが。

「でも、もしかしたら、我々が思い描いたものとはまったく違った状況になるかもしれない。今回のケイプは本当に気持ちが入っていますから。彼は身体能力は高いし、粘り強いし、変則的な動きをするので、何が起きるかわからない。実際に、前回の朝倉海との試合(昨年5月)は、どちらが勝ってもおかしくない内容でした(2-1の判定で朝倉海の勝利)。朝倉海にとっては、非常に危険な相手ですね」

――さらに、この試合の勝者は、同日に行なわれる石渡伸太郎vs扇久保博正の勝者と戦うことが決まっています。

「石渡と扇久保の試合は、間違いなく盛り上がりますよ。両選手にとってのターゲットだった堀口恭司を、朝倉海という若い男に目の前で持っていかれて燃えているはず。この試合に勝てば、(朝倉海vsケイプの勝者が保持する)王座に挑戦できるわけだから、なおさらですよ。2人には挑戦者にふさわしい経験値もありますしね。

 石渡は、たとえ両手がなくなっても戦うんじゃないかというほど、気の強い男です。風貌もいいし、本当に"ケンカ屋"だから、バンバン殴りにいくでしょう。対する扇久保は、とにかく粘ってタックルを仕掛けて、グラウンドに持っていきたいはず。これは激しい試合になると思うよ」

――RIZINバンタム級の王座争いは目が離せませんね。

「堀口がチャンピオンの時は、みんなが彼の名前を口にし、包囲網が敷かれました。その牙城が朝倉海に崩され、そして今回のタイトルマッチです。朝倉海とケイプのどちらが勝つにせよ、勝ったほうが追われる立場になる。それによってメンタリティが変わってくることもあると思います。バンタム級には、ほかにも元谷友貴や、ビクター・ヘンリーなどいい選手がたくさんいる。本当に"激戦区"ですから、この階級で誰が抜けてくるのか、本当に楽しみだね」

■「RIZIN.20」
2019年12月31日(火)開場 13:00 / 開始 15:00
会場:さいたまスーパーアリーナ
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