海外識者4人が村田諒太の有利を予想も、気になる「番狂わせ」の可能性 (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Yamaguchi Hiroaki/AFLO

セント・マーティン バトラーは、これまで村田が対戦した選手の中でもっともパンチが重い選手だろう。そんなバトラーの力量とパワーを過小評価しなければ、村田は有利になる。カギとなるのは、固いディフェンスとハイテンポな攻め。バトラーは(5月2日の)ビタリ・コピレンコ(ウクライナ)戦で、ボディにダメージを受けた経験があるため、村田もボディを集中的に攻めるべきだ。

ナム 村田にとっては"イージーワーク(簡単な仕事)"だ。村田がブラントとの再戦のときと同じ戦力を保っていれば、バトラーは問題ではないだろう。これまでどおりにプレッシャーをかけ、ワンツーから左ボディを返すコンビネーションを狙っていけばいい。村田のオフェンスはクリエイティブとはいえないが、得意のパンチは研ぎ澄まされている。今回の試合では、手持ちの武器で十分に勝利を手にできるはずだ。

Q2 逆に、バトラーが村田に勝つためにやるべきことは?

ヘルナンデス バトラーが得意とするのは右の強打だが、村田を脅かすほどのパンチかどうかは疑問符がつく。それでも、相手にとっては見づらいパンチかもしれない。(WBSS決勝で)井上尚弥を苦しめたノニト・ドネアの左フックと同じように、とくに試合の序盤では面白い武器になり得るだろう。

 とにかくバトラーは早いラウンドから攻めるべきだ。村田は試合途中での適応が得意ではないため、早い回にダメージを与えればチャンスが出てくるかもしれない。ただ、これまでのバトラーの戦歴や、ビデオで戦力を確認する限り、この試合は相当厳しいものになると思う。

サンガリア 長身で右ストレートを得意とする選手という点で、バトラーは村田とも共通点がある。バトラーにとって、最高のパンチはアッパーカット。村田との第1戦でのブラントも、アッパーカットを効果的に使っていた。それを考えれば、バトラーもコンビネーションの中でアッパーを生かすべきかもしれない。バトラーはブラントよりも優れたパンチャーだから、うまく当てれば有効な武器になるはずだ。

セント・マーティン 時差と環境に適応するため、早い段階で来日したバトラーが、最高の状態で臨んでくることは間違いない。彼は、2年前のブランドン・クック戦(の負け)と、苦戦した今年5月のコピレンコ戦で多くを学んだ。日本の大観衆の前で普段の力が出せるのかは未知数だが、ゲームプランどおりに、ジャブを使い、うまくスタミナ配分をすれば、勝機はあると見ている。

ナム 若く、経験に乏しく、同国のクックにKOされたこともあるバトラーにとって、今戦は厳しい試合になるだろう。バトラーの最大の欠点は、ディフェンスとフットワークが穴だらけなこと。12ラウンドにわたって村田のプレッシャーをかわせるとは思わないし、パンチの技術も洗練されていない。結論として、バトラーはごく平均的な選手。村田の脅威になるとは思えない。ブラントに似た部分が多いが、総合力ではかなり劣るだけに、大舞台でいい結果が出せるとは考え難い。

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